著者:水野敬也
本書は「夢をかなえるゾウ」の続編にあたるものです。
前作は、普通のサラリーマンである主人公がどのように成功するかという所を軸に、成功するための方法がまとめられている自己啓発本です。
本書は
- 自分の夢とどう向き合うか?
- お金、成功と幸せについて
面白おかしく、
時々ほろりと感動するストーリーでまとめられています。
夢をかなえるゾウシリーズは自己啓発本の枠を超えて、一つのエンターテイメントになっているのです。
登場人物
- 西野勤太郎(以下西野):本作の主人公、売れないお笑い芸人
- ガネーシャ:ゾウの姿をしたインドの神様、成功者の陰にはガネーシャの存在あり。と本人は言っている。神様ではあるが人間よりも人間らしいだらしない神様。
- 金無幸子(以下幸子さん):西野の家にずっと住んでいた貧乏神。西野がガネーシャと契約することで、西野の目に見えるようになった。貧乏の素質がある西野に好意を抱いている。
- 釈迦:お釈迦様。ガネーシャと仲良し
- ガツン松田:西野の後輩芸人。西野とは違いお笑いのセンスがある。ゴッド・オブ・コントに死神と出場
- 死神:ガツン松田と「デスマイル」というコンビを組んでゴッド・オブ・コントに出場
夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神の大まかなストーリー
できるだけネタバレが無いようにお話していきます。
西野勤太郎は脱サラしてお笑い芸人を目指しています。大好きなお笑いで食べていきたいと奮闘しますが、なかなか彼が人目を浴びることはありません。
同期のお笑い芸人たちは有名になっていくか、夢を諦めて別の道を選んでいきました。
所属事務所のお笑いライブで一番下のランク「たけのこ爆笑ライブ」より上に上がれないまま時間だけ過ぎていきます。
そんなライブを見に来てたのがガネーシャ。
実はガネーシャは神様の中でだれが一番面白いのかを競う、ゴッド・オブ・コントで優勝するために漫才の相方を探していたのです。
ガネーシャと出会うことにより、西野は神様が見えるようになりました。
もともと西野アパートに住み着いていた貧乏神の幸子さんが見えるようになったのです。
ガネーシャ、釈迦、貧乏神の幸子さん、西野でゴッド・オブ・コント優勝を目指します。
西野とガネーシャはゴッド・オブ・コントで優勝することができるのか?
3人の神の教え
夢をかなえるゾウ、前作は成功するためのメソッドがまとめられたものでした。
一方本書は、成功すると言うより幸せになるための考え方が詰まったものとなっています。
西野はゴッド・オブ・コントで優勝できたかどうかは別として、最終的に幸せを手に入れることができました。
それは、お笑い芸人として成功することとは別に、本当の幸せに気づくことができたのです。
巻末に「西野勤太郎のメモ帳」としてガネーシャの教え、幸子さんの教え、釈迦の教えとしてまとめられています。
前作は課題という形式をとっていましたが、本作は教えとしてまとめられています。
- 図書館へ行く
- 人の意見を聞いての直す
- 締め切りをつくる
- 失敗を笑い話にして人に話す
- 優先順位の1位を決める
- やりたいことをやる
- 楽しみをあとに取っておく訓練をする
- プレゼントをする
- 他の人が気づいていない長所をホメる
- 店員を喜ばせる
- 自分が困っているときに、困っている人を助ける
- 欲しいものを口に出す
- 日常に楽しさを見出す
自分と同じ苦しみを持つ人を想像する
本書を最後まで読み終えた時に、あれ?今回ガネーシャに何も教えてもらっていないぞ・・・
一応ガネーシャの教え6個あったんですね。
釈迦の教えはいいとして、幸子さんの教えがとても尊いのです。
金無幸子のいう3つの貧乏
出典:夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神
- ドリーム貧乏:略して「ドリ貧」。大きな夢を持っているものの、お客さんのことを全然見えていない人たち
- ガネーシャ貧乏:略して「ガネ貧」。我慢できない人。お金があればすぐ使ってしまう人。
- お駄賃貧乏:「お金は嫌な作業をするともらえるもの」という考えの人
この3つ貧乏で、とりあえずガネーシャ貧乏は単純で、これは何とかなるだろう。というのが正直な感想。
バビロン大富豪の教えにもあった、収入の1割を貯金するという教えに基づいて行動すれば、ガネーシャ貧乏からは抜け出せます。
ただ、ガネーシャ貧乏の人は大体「お駄賃貧乏」に陥っていることが多いのではないでしょうか。
サラリーマンをしていると、油断するとお駄賃貧乏に陥ってしまいます。
学校の勉強、アルバイトも嫌な仕事をこなしてお駄賃(給料)をもらうという思考に陥りやすいです。
その様に育った私たちは、その様に考える組織の中で働くので必然的にお駄賃貧乏になりがち。
お金は「嫌な」作業をするともらえるものじゃなくて、「楽しい」ことをするともらえるもの。
もらえるお金の量はあらかじめ決まっているのではなく、お客さんを喜ばせた分だけもらえるもの
そう思っていても、どうしてもお駄賃貧乏に引っ張られます。
そしてドリーム貧乏。
ある意味イタい存在ではあるけど、私はどうせ貧乏ならドリーム貧乏でありたいかな?って思います。
ドリーム貧乏だけは、夢見ているときは幸せでいられるじゃないですか。
ドリーム貧乏から成功を狙う。
そんな貧乏に私はなりたい・・・
金無幸子の自己犠牲の精神
幸子さんは長年西野の事を近くで見てきました。
西野が、
夜遅くまでお笑いのネタの研究をしたり、
部屋の扇風機にベンツのマークをつけたり、
ゴミ置き場から持ち帰った空気清浄機がやっぱり壊れていて、元の場所に戻しに行ったら「不法投棄だ」と言われたりする。
そんな不器用な生き方が好きだったのでしょう。
貧乏神である彼女は、西野がお金持ちになると消えてしまう存在であることが分かっているけれど、西野に対して助言し続けます。
このお金持ちになるというのは、大金を手にするというわけでなく、考え方がお金持ちになるという事です。
宝くじに当たって、お金持ちになっても、それは本当の意味での豊かさではありません。
考え方がお金持ちになることで、本当の意味で豊かになるのです。
その方法が「金無幸子の教え」です。
金無幸子の教えを西野に授けるたびに貧乏神である幸子さんは弱っていきます。
そこが、本書の中でとても切なく、また読者を引き込む要素となっています。
まとめ
「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」はいわゆる自己啓発本の要素が強い1作目と比較して、本当の成功って何だろう?幸せって何だろう?といいう事を考えさせられる内容となっています。
本書の初版が出版された2012年からすると、いまではSNSが発達して入ってくる情報の質が変わっています。
よくSNSで目にする、
1か月で最速成功!成功するための最短メソッド!
なんていう文字を目にします。
こういうものは大体は詐欺なのですが・・・
最短で成功することが、幸せなのでしょうか?
主人公の西野は8年間、大好きではありますが、まったく成果の出ないお笑いの下済みを続けてきました。
ガネーシャや金無幸子との出会いを経て、成功を手にするわけですが、
下済みの8年間は無駄ではなかったわけです。
これって、大好きなことを続けてきたからできたことで、お駄賃貧乏マインドでは成しえなかった事です。
私は今の仕事にそこそこ満足して働いていますが、ここにたどり着くまでにかなり遠回りをしていきました。
でもそれは無駄ではなかった。
というか、今やっている仕事や今こうやって書いているブログだって将来の自分から見ると下済みなのかもしれません。
本書を読んでそんな風に思えてきました。
この記事は今週のお題「読書感想文」について書きました